災害支援活動を始めたきっかけは東日本大震災
震災が発生したときに、テレビで見た津波の映像に強い衝撃を受けましたが、同時に「自分に何ができるのか」を考えました。避難所で寒そうに震える被災者の映像を見て、山に関わる者の発想から「寝袋を届ける」という支援を始めました。
被災地に通って支援を繰り返す中で、現場のニーズをくみ取って、極限状態の被災者が一息つけるような支援を行ってきました。
ネパール大震災の経験
2015年、エベレストのベースキャンプに入ろうとしていた時に、ネパールでは81年ぶりとなる大地震が起き、麓の村も大惨事となりました。余震により家は次々に倒壊していくため、人々は怖くて家に入れない。現地には避難所はそもそも存在していない。徐々に人々は疲弊していきました。こうした状況の中、人間の生活で基礎となる「睡眠」の環境を改善するため、テントを集め被災者に配りました。

災害時の避難場所としてのテント村
2016年に発生した熊本地震では、被災者の車中泊が続いていることが課題となっていました。そこで、エベレストのベースキャンプを参考として、被災者向けのテント村を設営することにしました。体育館で大勢が暮らす避難所と比べると、テント村は子どもものびのび過ごすことができ、プライバシーを守ることもできます。また、テント村の環境は、みんなで話し合いながら、日々改善していきました。特に、トイレの環境は重要で、仮設トイレではなく、排泄物を手軽に密封できる簡易トイレ「ラップポン」を活用して環境の改善を図りました。
災害時の避難所は、被災者にとって復興に向けた前向きな気持ちを持つことができるかどうかを左右する重要な場所で、その環境は被災者の生活に大きく影響します。私たちが取り組んだテント村は、期せずして良好な避難所の国際的な基準である「スフィア基準」に合致している部分が多いのですが、これは、エベレストのような極限状態で快適に過ごすために大切なことを取り入れた結果だと思っています。